レポート

『アルスエレクトロニカの都市振興に学ぶ』レポート

2015年12月22日

推進事業

『アルスエレクトロニカの都市振興に学ぶ』レポート

12月12日(土)に、ユネスコ・デザイン都市なごや推進事業のひとつである「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA」(主催:デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA実行委員会)において、「文化芸術創造都市講演会『アルスエレクトロニカの都市振興に学ぶ』」が開催されました。
アルスエレクトロニカは、名古屋と同じユネスコ・クリエイティブ・シティズ・ネットワークの加盟都市である、オーストリア・リンツ市で1979年から開催されている文化・芸術・先端技術の祭典として世界的に有名です。

前半は、アルスエレクトロニカ・フューチャーラボの日本人スタッフ小川秀明さんによる、アルスエレクトロニカの活動内容や理念についての講演が行われました。
アルスエレクトロニカといえば、「フェスティバル」(祭典)というイメージが強いのですが、実は「センター」(美術館)、「プリ・アルスエレクトロニカ」(芸術賞)、「フューチャーラボ」(メディアアート研究所)の日頃の取り組みに支えられた活動であり、「society」(社会)をキーワードとして、アート、テクノロジー、サイエンスすべてにまたがる新しい表現を日々追及しています。
小川さんが所属されているフューチャーラボは、ビジネスとサイエンスの橋渡し役として世界中の企業や団体と様々なプログラムやプロジェクトを生み出してきました。小川さんからは、芸術を一時的な流行として終わらせるのではなく、斬新で思索に富んだアーティストの思考を社会に役立て、その結果をまたアーティストに還元する仕組み「エコシステム(生態系)」をつくることが大切だというお話がありました。

アルスエレクトロニカの都市振興に学ぶ

後半は、芸術科学会中部支部から、メディアアーティストの杉森順子氏(愛知工科大学准教授)と井藤雄一氏(中京大学助教)、学会副会長の宮崎慎也氏(中京大学教授)が加わり、名古屋における文化・芸術・先端技術による都市の振興の可能性についてトークセッションが行われ、名古屋地域について「ものづくりの長い歴史があり、日本を代表する企業が集積している」「芸術系、工学系の大学が多く、人材が豊富」「美術館やデザインセンターなどハード面も充実している」として、「非常にポテンシャルが高い地域であり、これらをうまく結びつけることができる優秀なアーティスティックディレクター(芸術監督)を迎えることで、素晴らしい活動が生まれることが期待できるのではないか」といった意見が出されました。

アルスエレクトロニカの都市振興に学ぶ