中島那奈子 名古屋能楽堂スペシャルトーク+パフォーマンス
「能から『Trio A』へ」

トーク

  • 《Trio A Facing》Photoby Kai Maetani

  • レクチャー:中島那奈子

  • レクチャー:中島那奈子

  • パフォーマンス:高林白牛口二+寺田みさこ

  • パフォーマンス:高林白牛口二+寺田みさこ

  • パフォーマンス:高林白牛口二+寺田みさこ

  • トーク

トーク〈名古屋城エリア〉

レクチャー+パフォーマンス

日時:
11月17日(水)19:00-20:15
会場:
名古屋能楽堂
定員:
先着200名(要申込)
レクチャー:
中島那奈子
パフォーマンス:
高林白牛口二(喜多流能楽師)
寺田みさこ(コンテンポラリーダンス)

アクセス

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  • 新型コロナウィルス感染防止への対策のため、定員を設けさせていただきます。

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ステートメント

─歳をとることで、踊りもアップデートされるのか─
2017年に京都で、米国ポストモダンダンスの振付家・ダンサーのイヴォンヌ・レイナーの代表作『Trio A』を上演した。レイナーは近年、ダンサーの〈老い〉をダンスに取り入れようと、『Trio A:老いぼれバージョン』も発表している。京都の上演では、喜多流能楽師高林白牛口二さんと、コンテンポラリーダンサー寺田みさこさんの共演により、伝統と現代のダンスが、年齢とともに融合した。レイナー自身も、上演史上もっとも素晴らしいと評した、この二人の『Trio A』を、レクチャーとともに名古屋能楽堂で実現したい。

レクチャー 「能から『Trio A』へ」について

1. イヴォンヌ・レイナー
レイナー(1934- )はポストモダンダンスの歴史を作り、コンテンポラリーダンスでも影響力をもつニューヨーク・ジャドソン教会派を代表する振付家・ダンサー・映画監督

ダンス史において、1962年からのイヴォンヌ・レイナーやスティーブ・パクストン、トリシャ・ブラウンらが担った米国ニューヨークのジャドソン教会派(ジャドソン・ダンス・シアター)のダンスは、ポストモダンダンスと呼ばれた。これは、それ以前から踊られていたモダンダンスを乗り越える形式だった。劇場以外の場所で、ダンステクニックにとらわれない日常の動きや、偶然性、様々なメディアを取り入れた、実験的パフォーマンスが作られた。「スニーカーを履いた舞姫たち」。

2000年にレイナーは引退した名バレエダンサーのミハエル・バリシニコフのために、映画からダンス制作にもどってくる。今のレイナーにとって最も重要なテーマの一つが<老い>の問題。


2. 『Trio A』
レイナーの多くの作品は、ダンスを見ることを扱う。
見られる/過程への自己反省的な関心が代表作『Trio A』に結実。
『Trio A』は『The Mind is a Muscle(心は筋肉である)Part 1』の一部で1966年初演

日常的、具体的な、ノイズに満ちた身体
実際の重さ、かさ、身体性
途切れなく流れる動き
フレージングといったアクセントや律動感、ニュアンスを回避
均一なエネルギー配分
動きの連なりが予測不可能
集中感はあるが、いつでも中断可能
パフォーマーは観客との一切のアイコンタクトを避け、ひたすら仕事に専念
耐久力のある現実

→ダンスを見ていることの困難さに、観客は直面する。

ダンサーの身体の二つの次元:イリュージョンとしての身体と、現実の素の身体『Trio A』は、身体が何を見せるかではなく、現実の素の身体を見せる。


3. ポストモダンダンスができなかったこと
若い白人の芸術家による、若い健康な芸術家の身体が主役
→白人以外の芸術家、障害をもつ芸術家、高齢の芸術家はほぼいなかった。
「欧米の理想的身体は若く美しく健康な身体」
→この伝統をポストモダンダンスは乗り越えていなかった。


4. 京都での『Trio A』上演 〜能から『Trio A』へ
「イヴォンヌ・レイナーを巡るパフォーマティブ・エクシビジョン」
(2017年 京都芸術劇場 春秋座)

『Trio A』上演に参加したダンサー:レイナーと同い年83歳の京都喜多流の能楽師 高林白牛口二さん

ポストモダンダンスは日常着とスニーカー→高林さんの日常着は着物と足袋。
→着物にスニーカーを。

高林さんを『Trio A』に招き入れる方法→ 『Trio A Facing』のバージョンを考案

<老いのドラマトゥルギー>
・能楽での後見(シテと同格またはそれ以上の芸歴や実力を持つ演者が務める)
・世阿弥の「離見」や「目前心後」
能から『Trio A』への能動的な傍観者、能の老いの美学で『Trio A』を読み解く


5. スニーカーから足袋へ 〜『Trio A』に能を
82歳のレイナーによる『Trio A:老いぼれバージョン)』
パット・カターソンのアシストによるイヴォンヌ・レイナーのパフォーマンス 2017年 監督デヴィッド・マイカレック

作品のことをもっとも熟知しているはずの作者が、初演から半世紀を経て、外部から作品ににじり寄っていこうとしているために、作品未満という感覚を見る側に抱かせる。同時に、それがこの作品をより感動的なものにしている。

「解放された観客」
『Trio A』で<老い>が問題になった地点から、能の美学を経由して『Trio A』そのものに<老い>を組み入れる地点へ

名古屋能楽堂では能舞台に立つ限り白足袋を着用→足袋で『Trio A』を!

ゲスト

中島那奈子

ダンス研究者、ダンスドラマトゥルク。大学で教鞭をとりながら、ダンス創作を支えるドラマトゥルクとして国内外で活躍。2017年アメリカドラマトゥルク協会エリオットヘイズ賞特別賞受賞。老いと踊りの研究を並行して進め、研究と実践を組み合わせる近年のプロジェクトに「イヴォンヌ・レイナーを巡るパフォーマティヴ・エクシビジョン」(京都芸術劇場春秋座、2017年)、老いた革命バレエダンサーの作品『When my cue comes, call me, and I will answer』(演出・振付:メンファン・ワン、北京中間劇場、2019年)など。2020年にベルリン自由大学ヴァレスカ・ゲルト記念招聘教授に着任し、『ダンスアーカイブボックスベルリン』を上演。近年ダンスドラマトゥルギーの情報サイトを開設。編著に『The Aging Body in Dance: A Cross-cultural Perspective』 (共編:Gabriele Brandstetter、Routledge、2017)、『老いと踊り』(共編:外山紀久子、勁草書房、2019)。

⾼林⽩⽜⼝⼆(喜多流能楽師)

1935年京都府⽣まれ。幼少より⽗⾼林吟⼆のみに稽古を受ける。1971年喜多流職分となる。1982年4⽉より、400年の伝統がある京都の喜多流の開⽰公演「喜多流・涌泉能」を続け、能楽の普及や伝統維持、後継者育成に尽⼒。初舞台1938年『⾶⿃川』⼦⽅、1998年『卒都婆⼩町』、2009年『鸚鵡⼩町』、2012年『伯⺟捨』、上記の⽼⼥物を3番勤める。2016年『江⼝』を最後に「シテ」を舞う事より引退。

寺⽥みさこ(ダンサー・振付家)

幼少よりバレエを学ぶ。1991年より砂連尾理とユニットを結成。トヨタコレオグラフィーアワード2002にて、次代を担う振付家賞、オーディエンス賞をダブル受賞。⾃⾝の作品を発表する傍ら、⽯井潤、⼭⽥せつ⼦、⽩井剛、笠井叡など様々な振付家の作品に出演。アカデミックな技法をオリジナリティへと昇華させた解像度の⾼い踊りに定評がある。